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インビザライン矯正は、ワイヤー矯正に比べて痛みが少ないとされていますが、中には「頭痛がする」「肩こりが悪化した」と感じる方もいます。
これは、歯の移動による咬み合わせの変化や、マウスピース装着時の筋肉の緊張が影響している可能性があります。また、無意識のうちに食いしばりや歯ぎしりが強くなり、頭痛につながることもあります。
本記事では、インビザライン矯正による頭痛の主な原因と、それぞれの対処法・予防策を詳しく解説します。矯正治療を快適に進めるためのポイントを知り、適切に対処していきましょう。
頭痛は多くの人が経験する症状ですが、その原因はさまざまです。大きく分けると「一次性頭痛」と「二次性頭痛」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)などが含まれます。脳や体に特定の病気がなく、頭痛そのものが症状として現れるタイプです。
くも膜下出血や脳動脈乖離などの脳疾患、緑内障などの目の病気、副鼻腔炎などの耳鼻科疾患などが原因となって起こる頭痛で、命に関わる可能性もあるものを指します。
インビザライン治療中に発生する頭痛の多くは「一次性頭痛」の中でも「緊張型頭痛」に分類されます。
これは、噛み合わせの変化や食いしばり、首や肩の筋肉の緊張が影響して起こるものであり、矯正治療が直接の原因ではなく、治療による筋肉の過剰な負担が誘発する頭痛です。
以下では、インビザライン矯正が筋緊張性頭痛を引き起こすメカニズムについて、科学的な視点から解説していきます。
筋緊張性頭痛は、頭全体が締め付けられるような痛みが特徴で、以下のような症状を伴うことがあります。
筋緊張性頭痛の主な原因は「筋肉の緊張による血流の低下」です。
頭部を支える側頭筋(そくとうきん)や咬筋(こうきん)、僧帽筋(そうぼうきん)、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)などの筋肉が過剰に緊張し、血行不良が起こることで、痛みが生じると考えられています。
では、なぜそのような筋肉の緊張が生じるのでしょうか?
インビザライン矯正では、マウスピース(アライナー)を装着することで歯が少しずつ移動します。
この過程で噛み合わせが一時的に不安定になり、これまでとは異なる筋肉が使われることになります。
特に、側頭筋(こめかみの筋肉)や咬筋(あごの筋肉)が過剰に働くと、筋肉の緊張が増し、血流が悪化します。
この結果、頭部への酸素供給が不足し、緊張型頭痛が発生するのです。
インビザライン矯正中は、新しいアライナー(マウスピース)に交換した直後に歯に圧力がかかりやすくなるため、違和感や軽い痛みを感じることがあります。
この不快感により、無意識に歯を食いしばる傾向が強くなります。
食いしばりは「咬筋」や「側頭筋」の負担を増やし、首や肩の筋肉まで影響を及ぼします。
その結果、筋肉の過度な緊張が血流を阻害し、頭痛へとつながるのです。
インビザライン矯正は、口の中に異物(マウスピース)を長時間装着するため、顎の動きが制限されます。
そのため、通常とは異なる筋肉が代償的に働き、首や肩の筋肉のバランスが崩れることがあります。
特に、姿勢が悪い状態(前かがみやスマホの見すぎ)と組み合わさると、肩こりが悪化しやすくなり、結果的に筋緊張性頭痛を引き起こすことがあります。
インビザライン矯正中に、噛み合わせがズレることで、顎関節(がくかんせつ)に余分なストレスがかかることがあります。
顎関節は、首や肩の筋肉とも密接に関係しており、顎の位置が変化すると、それに伴って筋肉の使い方も変わるのです。
この影響で、普段使わない筋肉が緊張し、血行不良が起こり、筋緊張性頭痛を引き起こすことがあります。
逆に、もともと噛み合わせが悪いことで頭痛が発生していたケースでは、インビザライン治療によって改善することもあります。
例えば、以下のような噛み合わせの問題を抱えていた方は、矯正によって筋肉のバランスが整い、緊張が緩和されることで頭痛の頻度が減少する可能性があります。
このように、矯正治療の途中では一時的に筋緊張性頭痛が発生する可能性があるものの、治療が進むにつれて改善するケースも多いということを知っておくとよいでしょう。
もし、頭痛が長期間続いたり、痛みが強く日常生活に支障をきたす場合には、歯科医師に相談し、適切な対応を検討しましょう。
これまで述べてきているようにインビザライン治療を進めていく中で生じる頭痛の多くは 筋緊張性頭痛に分類されます。
では具体的に、筋緊張性頭痛が発生しやすいのはどのようなタイミングなのでしょうか。
インビザライン治療では、基本的には1週間ごとに新しいアライナー(マウスピース)に交換し、少しずつ歯を動かしていきます。
新しいアライナーに交換すると、これまでとは異なる位置に歯が動くため、噛み合わせのバランスが一時的に不安定になります。
特に、新しいマウスピースを装着した初日や2日目は歯の移動による違和感が強くなると考えられます。
インビザライン治療では、噛み合わせを整えるために顎間ゴム(エラスティックゴム)を使用することがあります。
このゴムの力によって歯が前後方向に動いたり、上下の噛み合わせが調整されたりするため、顎の位置がわずかに変化することがあります。
顎の位置が変化すると、それに適応しようとする咀嚼筋などが緊張しやすくなります。
さらに、ゴム掛けをすると口の開閉に制限がかかるため、顎の動きがぎこちなくなり、側頭筋や首の筋肉に余分な負担がかかることも可能性としてはあるかもしれません。
インビザライン治療中でも、食事の際にはマウスピースを外すため、食べ物の選び方が頭痛に影響を与えることがあります。
特に、硬いものを食べた後に頭痛を感じる場合は、咀嚼筋が過度に疲労し、筋肉が緊張することが原因です。
例えば、次のような食べ物は咀嚼回数が増えるため、顎の筋肉への負担が大きくなります。
特に、すでに噛み合わせの変化で筋肉が緊張している状態で、さらに硬いものを食べると、側頭筋や咬筋の疲労がピークに達し、頭痛が発生しやすくなることがあります。
ストレスは、筋緊張性頭痛の大きな要因のひとつと言われています。交感神経の過剰な興奮の影響があるのかもしれません。
また、朝起きたときにこめかみや頭全体がズキズキと痛むことがある場合、夜間の歯ぎしりや食いしばりが関係している可能性があります。
私は学生時代に、歯ぎしりの原因についての研究をお手伝いしていました。三叉神経中脳路核への抑制性ニューロンを超える興奮性ニューロンへの刺激が、睡眠時でさえも咀嚼筋を興奮させることがわかりました。
しかし、根本的な原因は未だ不明なのです。
夜間の歯ぎしりや食いしばりは、通常の咀嚼よりも何倍も強い力がかかるため、朝起きたときに頭痛を感じることがあります。
インビザライン治療中に頭痛を感じたとしても、一時的なものであり、治療が進むにつれて徐々に解消されていくことがほとんどです。
また、多くの方は軽い違和感を感じる程度であり、日常生活に大きな支障をきたすことはありません。
とはいえ、頭痛が気になる場合には、適切な対処を行うことで症状を和らげることができます。
ここでは、インビザラインによる頭痛の予防・対処法を紹介します。
新しいマウスピースを装着した直後や、顎間ゴムの使用を開始した際など、噛み合わせの変化が大きいタイミングでは一時的に痛みを強く感じることがあります。
このような場合、市販の鎮痛剤を適切に服用することで痛みを緩和できます。
ただし、インビザライン矯正による頭痛は、時間とともに軽減されることがほとんどなので、必要に応じて適度に使用し、無理のない範囲で治療を進めていくことが大切です。
頭痛の主な原因が筋肉の緊張にある場合、筋肉をリラックスさせることで症状を和らげることができます。
特に、側頭筋や咬筋、僧帽筋(首・肩の筋肉)をほぐすことが効果的です。
硬いものを噛むと咀嚼筋への負担が増し、側頭筋や首の筋肉まで緊張が広がることがあります。
矯正治療中は噛み合わせが不安定な部分で無理に噛むと、筋肉の過緊張を引き起こし、頭痛の原因となることがあるため注意が必要です。
逆に、フランスパンやナッツ類、ガムなどの硬い食べ物は避け、食事の際には奥歯だけでなく全体を均等に使うことを意識すると、顎の負担を軽減できます。
ただし、硬いものを完全に避ける必要はありません。適度に噛むことで顎の筋肉を鍛えることも大切ですが、矯正中は負担がかかりすぎないように工夫をするとよいでしょう。
頭痛が長期間続く、または痛みが強い場合は、矯正治療の進行状況を確認し、必要に応じてマウスピースの調整を行うことが重要です。
歯の移動のペースや、顎間ゴムの使用が適切かどうかを確認するためにも、歯科医師への相談を検討しましょう。
インビザライン治療を検討している方の中には、「矯正による頭痛が心配」「噛み合わせの変化で違和感が出るのでは?」と不安に感じている方も多いかもしれません。
しかし、ほとんどのケースでは一時的なものであり、適切な対策を取ることで快適に矯正を進めることが可能です。
KAM Dental OKAYAMAでは、インビザライン治療に関する疑問や不安に丁寧にお答えし、患者さま一人ひとりに最適な治療プランをご提案いたします。
矯正中の頭痛が気になる方、治療を始める前に詳しく相談したい方は、ぜひ一度当院にご相談ください。経験豊富な歯科医師が、あなたの不安を解消し、安心して治療を受けられるようサポートいたします。